かなり不快なタイトルですが、過激な発言をするインフルエンサーがこんなことを言うのをたまに見かけます。
医療従事者ではない方がそう言うのも悲しいですが、ひどいのは理学療法士をしていると、周りの医療従事者でもこういうことを言う者がごく稀にいることです。
だから「高齢者のリハビリはやる気が出ない、これから未来のある若い人のリハビリがしたい」のだと。
ちょっとお金の勉強をしていたり、論破系YouTuberが好きだったり、意識高い系の人に多い傾向にあると感じました。
同じ医療系の職種としては本当に悲しくなります。
この記事を書いている今も思い出して悲しくて涙が出てきています。
今の高齢者の方々は、戦後の日本が最も大変な時期を死に物狂いで働いて、我々若い世代がここまで豊かに暮らせるようにしてくださった方々です。
そのことに感謝し、少しでも老後は楽して楽しんでいただきたいと私は思います。
そして、恩を返して少しでも老後を楽しんでいただけるように、全力で接するのが我々プロの理学療法士だと考えます。
そして、その高齢者の方々にも、その方のことを大切に思う家族や友人が必ずいます。
それなのに、「不要」だなんて言葉を使うのは、その方がいないところであってもあり得ないことだと考えます。
もし、自分の祖父母や大切な人たちがそんな風に思われたらと思うと、とても悲しいです。
私が悲しくて憤りを覚えるのが、「高齢者は不要」のスタンスを取る者に限って、その場しのぎで効果の薄いリハビリをしているということです。
例えば、「痛くてこっている部分をマッサージ」「痛いところを温める」「痛いところに電気」「超音波を当てる」「軽く可動域訓練」だけでその日が終わるようなリハビリです。
その後に違うメニューをするための下準備として行うのであれば良いのですが、
基本的にこれをやっても良くなることはありません。
これだけは断言できます。
そして、こういうその場しのぎのやり方が多いせいで、「整形外科のクリニックは慰安の場所」と思うようになる高齢者がとても多くなっています。
このような、その場だけ症状が取れればOKというリハビリをしていると、根本の原因は一向によくならず、結果として出た症状だけに対処するため、帰り道にはもう痛かったり、寝て朝起きると痛いという悪循環に陥ります。
「あそこに行けば一時的にでも楽になる」と思うため、またすぐに通ってしまう。
この結果、医療費がかさみ、税金をどんどん上げざるを得なくなってしまいます。
この構図は、高齢者が悪いというよりは我々医療従事者側に責任があると思います。
その場しのぎのリハビリをやめて、根本の原因までしっかり考察して介入していくことが本当に必要なことで、理学療法士の仕事はここにあります。
週に何回も電気やマッサージの治療に通っていた方でも、しっかり根本の原因を解決するように介入すれば、2週間に1回通うだけで良くなっていくことがほとんどです。
高齢者の方が不要だという考えを持ち、声高らかに「経済を回せない高齢者は不要」と口に出す前に、
「高齢者の方々の痛みを解決し、医療機関に通わなくても良い身体にして、積極的に外に出てお金を使って楽しんでもらえる」
ようにして差し上げる、という考え方に変わってもらえるといいなと思います。