こんな施術しました

前屈した時のお尻からふともも裏の痛みに対する施術

ごあいさつ

理学療法士の尾澤です。

日本では100人ちょっとしかいない、「シュロス法国際認定セラピスト」という資格を持っています。

世界的に認められた「脊柱側弯症の理学療法のスペシャリストですよ」という認定資格で、側弯症だけでなく背骨に関してはちょっとだけ詳しいです。

実は私はホットペッパーに広告を出しているのですが、先日初めてホットペッパー経由でご予約いただいた方の施術をしてきました。

ホットペッパーでは珍しい「しっかり治してくれそうなところ」として選んで予約してくださりました。

まだ口コミが一件もなかったのに予約してくださったパイオニア精神に溢れる方でした。

その方は痛みの根本原因が少し特殊で「脊柱側湾症」によって坐骨神経痛・ぎっくり腰予備軍となっていました。

本日の症状

今回施術した方は30歳代の女性で、お仕事は在宅のデスクワークが多いようです。

主な症状
「床の物を拾おうとして前屈すると、お尻から太ももの裏が10分くらい痛くなる時がある」
(画像赤○部分が痛い場所)

その他の気になる症状
「うつ伏せから起き上がる時にぎっくり腰になりそうな感じがする」

今までの経過

少し経過が長く、悪化した後に病院にかかって検査を受けていました。

今までの経過
  • はっきりとしたきっかけはわからないけれど、3年間リモートワークで動き回る機会が減ったから?
  • 1年前に筋トレを始めたくらいのタイミングで痛くなってきた。
  • 3週間前から悪化して、痛くなった際は「どう表現したら良いかわからない痛み」で動けなくなる。
  • 整形外科を受診して「坐骨神経痛」と診断を受けた。
  • 背骨が曲がっていると言われた(昔、脊柱側弯症と言われた)

医師の診察を受けた後であれば安心して施術することができるので助かります。

施術内容

今回は次の2つの症状に対して施術を行いました。

施術内容
  • お尻〜もも裏の痛みに対して
  • ぎっくり腰に対して

次から以下の内容について

お尻〜もも裏の痛みに対して

痛みの原因:坐骨神経の癒着

一通り検査をした結果、両側とも坐骨神経の癒着(左>右)が原因でした。

坐骨神経はお尻の筋肉のすき間から出て、ふとももの裏(少し外側)を通っていきます。

今回の方はその坐骨神経が内側にある「靭帯」「坐骨」「筋肉」と癒着して動きにくくなっていました。

画像の水色○部分が癒着を起こしていた箇所です。

画像(坐骨神経癒着部位)

癒着は次の条件で発生しやすいです。

癒着を引き起こしやすい5条件
  • 圧迫
  • 不動(動かさなすぎ)
  • 過用(使いすぎ)
  • 炎症
  • 出血

床に落ちたものを拾う時の痛みは、施術時に再現ができなかったですが、

「長時間座ってor立ってじっとしてる → 前屈した時に坐骨神経の癒着した部分が引っ張られた」

ことが原因と考えます。

デスクワークが増えたことで外出機会が減り、座る時間が増えたことで「不動(動かさなすぎ)」となります。

座っている最中はお尻〜もも裏が「圧迫」されます。

そのため両方のもも裏の坐骨神経が癒着しやすくなります。

さらに、腰がメインの脊柱の側弯で重心が左側に偏ってしまい、左のお尻の「圧迫」が増えて左の坐骨神経の癒着が強くなります。

側弯症は生まれつきやその他の疾患がない限り「背中は右側、腰は左側」に背骨が変形していくと報告されています。

今回介入した方も同様で、腰のカーブが少し強く出ていました。

痛みに対する施術

画像の水色○部分の癒着をリリースして、坐骨神経がストレスなく動くようにしました。

施術風景はこのような感じです。

ぎっくり腰に対して

症状の原因

症状の原因は腰部脊柱起立筋という腰の大きな筋肉の癒着でした。

今回の方は腰の筋肉のとなりどうしが癒着して動きにくくなっていました。

画像の水色○部分が癒着を起こしていた箇所です。

癒着を引き起こしやすい5条件
  • 圧迫
  • 不動(動かさなすぎ)
  • 過用(使いすぎ)
  • 炎症
  • 出血

うつ伏せから起き上がった時に腰が痛くなるのは

「長い時間うつ伏せになって癒着した → 起き上がる時に腰を反りすぎた → 癒着した部分が詰まって痛みが出た」

ことが原因と考えます。

先ほども書いたように、側弯症は生まれつきやその他の疾患がない限り「背中は右側、腰は左側」に背骨が変形していくと報告されています。

画像側弯症TriLle

特に今回施術した方のように「腰が大きく側弯するタイプ」の方は、反り腰・猫背であると言われています。

そのため、うつぶせから起き上がる時に腰だけが過剰に反ってしまっていたと考えます。

骨が飛び出た部分は、背中側に盛り上がってくるので、座っている時に背もたれなどで「圧迫」されて癒着しやすいです。

そのため、今回の方の症状は左側の腰に症状が出やすくなっていたと考えます。

痛みに対する施術

画像の水色○部分の癒着をリリースして、脊柱起立筋がストレスなく動くようにしました。

画像(癒着部位)

施術風景はこのような感じです

家で行っていただく運動

家でやっていただく運動の目的は「姿勢を修正すること」です。

具体的な内容は「肋骨を開くストレッチ」と「お腹のインナーマッスルの筋トレ」です。

その詳細を書いていきます。

目的:姿勢を修正すること

正面から見た際の側弯の修正もしたいですが、まずは体を横から見た際の姿勢の修正を行います。

かたくて猫背になった背中を伸ばし、弱くて反りすぎてしまった腰の弯曲を小さくするのが主な目的です。

重要なのは「肋骨の柔軟性」と「お腹のインナーマッスルの強化」です。

肋骨をひらく(背筋をのばす)ストレッチ

方法

①横向きになって寝ます。背骨は軽くS字の弯曲ができるように意識しておきます。

②下の手で肋骨の下側をおさえ、上の腕は前に伸ばします。

③上の腕を開きます。下の手で肋骨が開かないように肋骨をしっかりおさえましょう。

②〜③を繰り返します。

失敗例

背中が後ろに倒れてしまう。

これだと肋骨がしっかり開かないためあまり意味がありません。

背中が倒れないようにお腹に力を入れましょう。

無理に頑張って上の手を開かなくても大丈夫です。

今回施術した方に向けたポイント

今回施術した方は右腕を上にしたストレッチを重点的に行いましょう。

重力で背骨がまっすぐになり、背中部分の側弯の修正が期待できます。

左の腰の下に丸めたフェイスタオルを入れておくと、より効果的です。

タオルで腰の骨が持ち上げられて、腰の側弯の修正が期待できます。

お腹のインナーマッスルの筋トレ

方法

①安定したイスorベッドに座ります。

②両手で骨盤を持って、中指と薬指で腹筋を触りましょう(腰骨の少し内側)

③骨盤を後傾してからゆっくり背中全体を丸めます。

④お腹の力を抜かないようにして背筋を伸ばしていきます。
肋骨の一番下が浮いてこないように注意しましょう。

②〜④を繰り返します。

失敗例

腰が反りすぎる

画像腰反りすぎて体が後ろに倒れていってしまう失敗例です。

猫背(背中の上側が曲がりすぎる)
反り腰(背中の下側が反りすぎる)
ような姿勢を強めてしまいます。

胸を張りすぎて肋骨が浮いてしまう

体は真上に伸びるけれど、背中を伸ばしすぎて腹筋の力が抜けてしまう失敗例です。

後ろに倒れる時に腰を丸められない

普段から反り腰で腰が丸められない失敗例です。

今回施術した方に向けたポイント

腰を反りすぎて肋骨の下側が浮いてしまいやすいです。

次の画像のように腕を一番下の肋骨の前で組んで、肋骨が前に浮かないようにおさえながら行うと良いです。

日常生活の注意点

癒着が起こらないようなケア

今回施術した方の癒着は下のことが原因で起きていると考えます。

  • 座っている時の圧迫
  • リモートのデスクワークによる不動(動かさなすぎ)

なので、次のことを心がけていただくことが大切です。

  • 過剰な圧迫を受けないように姿勢を修正すること
    (次の項で詳しく書いてます)
  • こまめに体全体を大きく動かすこと
    (屈伸や軽く体をねじるなどなんでもOK)

理想は両方とも15分に1回程度チェックすることです。

姿勢で気をつけること

デスクワークが多いということなので、座っている姿勢で
「もたれかかったな〜」
と感じたら、体を起こしましょう。

左側に偏った重心を真ん中に戻しましょう。

もともと左に偏りすぎてしまうので、少しオーバーに右側に寄せても問題ありません。

より詳しい修正方法は記事だけでの説明が難しいため、次回、実際にお伝えします。

今後の方針

今後、施術にきていただいた際の方針はこんな感じです。

施術の方針
  • 少し再発する可能性がある、腰・坐骨神経の癒着をケアする
  • 肋骨が浮く原因となるような腹筋の癒着を取り除き、体幹が働きやすくする
  • 側弯症が悪化していかないような姿勢の修正を、より詳しく行う
  • ふくらはぎの硬さを改善する
スケジュール
  • 来院間隔:最初数回は3日〜2週間に1回程度が理想
  • 期間:3ヶ月〜5ヶ月間
  • 回数:多くても10回以内で症状が気にならない程度まで改善
  • その後:2〜3ヶ月に1回ケアに来たり来なかったりで良くなるという予測です。

おわりに

いかがだったでしょうか。

癒着が取れると症状は劇的に改善します。

しかし、もともとの姿勢の影響で癒着は再発する可能性があります。

ほぐすだけでは症状の根本改善をすることはできません。

地味で地道な「姿勢や動作の修正」がどうしても必要です。

そしてその姿勢や動作の修正には、どうしても時間や回数が必要になります。

根本解決するためには、施術を受けてくださった方の頑張りとご協力が必要です。

1日1回でも良いので家でもエクササイズをしてください。

そうしていただければ、姿勢や筋肉の緊張が改善されて、根本の改善が早くなります。

痛みの出ない体を手に入れて、快適な日常生活を送れるように精一杯協力いたしますので、一緒に頑張りましょう。

施術希望の方へ

東京都港区麻布台にて施術を行っています。

ご連絡はこちらへ

電話:09066557038
メール:gt.ozable7038@gmail.com
公式LINE: @acc47

公式LINE:@acc47

アライメントケアセンター HP:https://alignment-care-center.com/
ご予約:https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000600571/coupon
口コミ:https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000600571/review/

おまけ

脊柱側弯症の症状や、側弯症の運動療法でいちばんわかりやすく書かれている書籍を載せておきます。

かなり専門家向けですが、一般の方でも目を通していただくと「側弯症に対してやることは手術や装具だけではない」という希望が持てると思います。

側弯症で悩んでいるけれど、どんな運動をすれば良いかお悩みの方は、目を通してみてください。

わからないことがありましたら、施術を受ける際に持ってきていただければご説明します。

「どの運動をすれば良いかわからない」方も、運動を選んで練習のお手伝いをいたします。

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ちなみに、私が行う正式な「シュロス法」とは少しだけ内容が異なります。