雑談

【変形性膝関節症の一歩手前】体幹の弱さが首こり・肩こり・膝の痛みの原因

理学療法士の尾澤です。

先日ホットペッパー経由でご予約をいただいた方の施術をしました。

病院やクリニックのリハビリでは、まず介入しないだろうと思うような症状でした。

理由は、「症状が軽い」「画像検査に引っかかるような変形・損傷がない」「問題点も原因もわずかで細かくて気づきにくい」からです。

そういう方々が、ちょっとしたリラクゼーションや整体を求めてホットペッパーを利用すると仮説を立てて、理学療法士としては一見ターゲット違いなホットペッパーに掲載しています。

変形が起こる前に予防できれば、症状の根本改善が望めるからです。

本日の症状

50歳代女性

仕事:デスクワーク

運動習慣:なし

メインの症状

「20年以上前から首と肩がこる」

というのがメインの症状でした。
(画像赤丸部分)

その他気になる症状

「歩きにくい、長く歩いていると足が出なくなる、足がむくむ」

というのがその他の気になる症状でした。

経過

  • 昔から運動が得意ではなく好きではなかった
  • 20〜30年前の出産後から調子が悪くなってきた
  • 両方とも膝を痛めたことがあり、整形外科で診察を受けたが異常なし
  • 首こり・肩こりは長年悩んでおり、近所の整体や接骨院に通っていた

姿勢

立った姿勢はこのようになっていました。詳細は後に記載しています。

歩き方

歩き方はこのようになっていました。今回は症状が強かった左側に着目して歩き方を編集しました。

症状の原因

「肩・首こり」「歩きにくい、長く歩いていると足が出なくなる、足がむくむ」「昔膝を痛めた」の原因は同じでした。

1番の根本原因は体幹の筋肉が弱くて正しく働いていないことでした。

体幹の筋肉が正しく働かないことで「良くない立ち方・歩き方」になり、体の不調を引き起こしています。

弱くなっている体幹の筋肉とは?

体幹の筋肉というのは体の深いところにある4つの筋肉のことを指します。

体幹の筋肉4種類
  • 腹横筋
  • 横隔膜
  • 多裂筋
  • 骨盤底筋

この筋肉でお腹を包み込んで、コルセットのような役割をします。

体幹の筋肉が正しく働くと腰は軽く反り、身体が真上に伸びた綺麗な姿勢になります。

体幹の筋肉は体の奥の小さい筋肉のため、意識して働かせるのが難しいです。

この筋肉が働かなくなると長くて大きい筋肉に寄りかかるような使い方をするようになります。

背中にある脊柱起立筋やお腹で目立つ腹直筋(6つに割れる筋肉)などがそうです。

体幹トレーニングというとこの画像のような腹筋などを真っ先に思い浮かべると思います。

しかし、これをしてしまうと大きい筋肉が働きすぎて、正しい体幹の筋肉が働きにくくなります。

良くない立ち方の詳細

立ち方はこのようなっていました。

前から見ると、膝のねじれが生じていました。

膝のお皿は内側を向き、すねの骨とつま先が外側を向いた状態です。

横から見ると、骨盤が後傾し、腹部が前に出て、背中が後ろに移り、頭部が前に出ていました。

前の項目に出た腹直筋を伸ばして寄りかかるような立ち方です。

そして、足の親指が浮き上がってしまっていました。

普段からかかとの外側に重心を乗せている立ち方をしていることが伺えます。

良くない歩き方の詳細

今回は症状が強かった左側に着目して、それぞれのタイミングに分けたのが下の連続画像です。1枚目が横から見た歩き方、2枚目が前から見た歩き方です。

問題となっていたのは太字になっている衝撃を吸収するタイミングつま先でふんばるタイミングです。

衝撃を吸収するタイミングでは膝が内側に入ってしまい、膝がねじれてしまっています

膝もつま先もまっすぐ前を向いているのが正常です。

横から見た際は常に上体が後ろに引けてしまい、頭が前に出る姿勢となっています。

つま先でふんばるタイミングでは、正常の歩き方だと上体は直立で体幹を回転させて、股関節と膝を伸ばし、親指で地面を踏み込みます。

しかし、かかとがついたままで親指で踏みこめておらず、股関節と膝がしっかり伸びていません

施術内容

施術の方針

以下のように方針を立てて施術いたしました。

方針
  1. 首・肩の症状をとる
  2. お腹のインナーマッスルが働くようにする
  3. 膝がねじれない使い方・親指に体重が乗るような使い方を獲得
  4. 歩き方の練習(親指に体重を乗せる)

首・肩こりに対して

首こり・肩こりの原因

首・肩こりの原因となっていたのは画像であげている筋肉でした。

「僧帽筋上部線維」という筋肉です。

肩甲骨を上げる時に働く筋肉で、首を横に曲げるなどの働きもあります。

この筋肉が画像の○の部位で、周りの筋肉や神経と癒着してしまっていました。

癒着とはくっついてしまっていることです。

立っている時や歩いている時に頭が前に出てしまっているのが、首こり・肩こりを引き起こした根本原因と考えます。

頭は重いため、前に出ると支えるために首や肩の筋肉が過剰に緊張してしまいます。

姿勢による緊張が重なり、僧帽筋の癒着が生じてしまっていたと考えます。

首こり・肩こり改善のために行ったこと

周りの筋肉や神経と癒着してしまった、画像の○の部位を、指でリリースしました。

施術はこのような感じで行いました。

「歩きにくい、長く歩いていると足が出なくなる、足がむくむ」に対して

施術内容は次の項目「家でやっていただく運動」で詳細に書きます。

ここでは姿勢・歩きかたが、どのように諸症状に繋がっているかを記載します。

膝を痛めた

膝が内側・つま先が外側を向き、膝がねじれる使い方が1番の問題です。

歩く時には衝撃を吸収するタイミングつま先でふんばるタイミングで膝がねじれています。

左足で衝撃を吸収するタイミングでは膝が内側に入ってしまい、膝がねじれてしまっています。

左足が後ろにいき、つま先で踏み込むタイミングでは、親指でふんばれないことでつま先を外側に向けていて、膝がねじれてしまっています。

この膝のねじる歩き方は変形性膝関節症につながります

膝がねじれることで関節が正しくまっすぐはまりこまず、半月板などが削れるようなストレスが生じます。

そうして、レントゲンに映らない小さな損傷が起きて、痛みを引き起こします。

痛いのに整形外科にかかると異常なしと言われてしまう原因がこれです。

長く歩いていると足が出なくなる

股関節の前側(股関節を曲げる筋肉)をしっかり伸ばせない使い方が1番の問題です。

足をスムーズに出すためには、つま先で地面をしっかり踏んで膝を伸ばして体を上に持ち上げないといけません

そうすることで股関節の前側の筋肉がしっかり伸びます

伸びてピンと張った股関節の前側の筋肉が自然に縮むことで、無駄な力を使うことなく足が出てきます。

つま先で踏ん張れないことで股関節の前側が伸びないため、股関節の前側の筋肉に力を入れて足を出さなければないけなくなります。

その結果、長く歩いた際に股関節を曲げる筋肉の疲労がたまり足が出にくくなってしまいます。

足がむくむ

ふくらはぎの筋肉を使えていないことが1番の問題です。

足がむくまないようにするためにはふくらはぎの筋肉に力を入れる⇄力を抜くを繰り返さないといけません。

ふくらはぎの筋肉に力を入れると、血管がギュッとされて血液が心臓のほうに戻っていきます。

かかと側に体重をのせているとすねの前側の筋肉に力が入り、ふくらはぎの筋肉は使えません。

歩く時にもしっかり膝を伸ばしてつま先でふんばることでふくらはぎの筋肉を使います。

しかし、歩く時につま先でふんばれていないため、ふくらはぎに力が入りません。

この歩き方が原因で、足がむくみやすくなっていると考えます。

ふくらはぎの筋肉が働かない歩き方を続けていると、いくらマッサージをしても、いつまでもむくみやすくなってしまいます。

家で行っていただく運動

家で行っていただく運動の目的は姿勢・歩き方を修正する(体幹の強化、親指に体重をのせる)ことです。

家で行っていただく運動は「日常生活で実施しやすいこと」がテーマです。

もともと運動習慣がなかったため、手軽に日常生活で取り入れやすいよう、座っているか立ってできる運動としました。

やることは下っ腹に力を入れること親指に体重を乗せることです。

立ち座りの運動

腹筋をしっかり働かせながら、つま先の方に体重を乗せられるようにするために行います。

方法

①いすを2個またはいすと手を着ける台を用意します。

②足と膝はグーにしたこぶしが1つ入るくらいの幅に開きます。
(つま先はまっすぐ前を向けましょう)

③台に手を着きます。

④膝をイスに近づけて親指の方に体重を乗せていきます。
(足の裏は全体がついているようにしましょう)

⑤そのままゆっくり膝を伸ばします。

⑥膝を前に出して親指の方に体重を乗せながら、ゆっくり座ります。
(つま先が浮かないように注意しましょう)

失敗例

失敗例1:膝が内側に入ってしまう

お尻に力が入らず、膝が内側に入る失敗例です。

膝がねじれて痛みを引き起こしやすいです。

お尻の菌に気が働いていないことが原因なので、お尻に力を入れるように意識しましょう。

失敗例2:つま先が外側を向いてしまう

膝はまっすぐ前を向いていますが、つま先が外を向いて膝がねじれてしまう失敗例です。

膝がねじれて痛みを引き起こしやすいです。

扁平足や足首のかたさが原因なので、中敷などの検討が必要です。

失敗例3:膝が内側・つま先が外側を向いてしまう

膝は外側を向いて、つま先が外を向いて膝がねじれてしまう失敗例です。

最も膝を痛めやすいです。

お尻の筋肉が働かない、扁平足、足首のかたさが原因です。

失敗例4:親指が浮いてしまう

親指で踏み込むことができず、小指側だけに体重をかけてしまう失敗例です。

O脚や足首の捻挫などにつながります。

捻挫したことがある方や、足の裏の骨が歪んでいることが原因です。サポーターや中敷きを検討する必要があります。

失敗例5:つま先が浮いてしまう

体重を前に移動できず、指が浮いてしまう失敗例です。

かかと重心になって姿勢が崩れたり、浮き指になってバランスを崩しやすくなったり、歩く時に指の力が使えなくなります。

もも前の筋肉を使いすぎて、お尻の筋肉を使えないのが原因なので、お尻の筋肉を意識して、膝を前に出すようにしましょう。

今回施術した方に向けたポイント

5秒かけて立ち上がり、5秒かけて座るように、ゆっくり数をかぞえながら行いましょう。

小さい声でも数をかぞえることで、息を吐いて腹筋に力が入ります。

歩き方を修正する運動(後ろの足の親指に体重を乗せる)

歩く時の後ろ足のつま先で踏み込むタイミングで、股関節・膝をしっかり伸ばし、親指でふんばれるようになるための運動です。

壁に手をついて行うことで、腹筋など体幹の筋肉を鍛えることができます。

方法

①壁に手をつきます

②片方の足を後ろに引きます
(両足ともつま先はまっすぐ前に向けましょう)

③後ろの足の親指(母指球)で地面を踏み込み、かかとを上げます
(後ろ足の膝はしっかり伸ばしましょう)

④ゆっくりかかとを下げます

③④を繰り返します。

失敗例

失敗例1:

後ろ足の膝が曲がってしまう失敗例です。

股関節の前側がしっかり伸びず、疲れやすい歩き方になったり、体が沈み込むことでつまづきやすくなります。

失敗例2:後ろ足のつま先が外側を向いてしまう

後ろ足のつま先が外側を向けてしまう失敗例です。

膝がねじれて膝を痛めやすいです。
巻き爪にもつながります。

普段から指の力を使えていないことが原因なので、指に力を入れるように意識しましょう。
足首のかたさや扁平足が原因の場合、サポーターや中敷きの検討が必要です。

失敗例3:後ろ足のつま先が外側を向いてかかとを上げてしまう

かかとを上げる段階で、後ろ足のつま先が外側を向いてしまう失敗例です。

膝がねじれて膝を痛めやすいです。
巻き爪にもつながります。

普段から指の力を使えていないことが原因なので、指に力を入れるように意識しましょう。
足首のかたさや扁平足が原因の場合、サポーターや中敷きの検討が必要です。

失敗例4:小指側で踏み込んでしまう

小指で頑張ってしまう失敗例です。

膝がねじれて膝を痛めたり、捻挫につながりやすいです。

普段から指の力を使えていないことが原因なので、指に力を入れるように意識しましょう。
捻挫をしたことがあり足首のかたいことや扁平足が原因の場合、サポーターや中敷きの検討が必要です。

今回施術した方に向けたポイント

つま先をまっすぐ前に向けて、親指で地面を踏み込むように意識しましょう。

お腹のインナーマッスルの筋トレ

体幹のインナーマッスルを働かせてお腹が前に抜けてしまった姿勢を修正しやすくするために行います。

この運動は休日や仕事後などの時間と体力に余裕がある時に、おまけで行う程度でかまいません。

横にゴロゴロ

方法

①バランスボールに足を乗せましょう

②横にゆっくりボールを転がします。

(両側45°くらいまで、5秒くらいかけてゆっくり)

失敗例

失敗例1:手で頑張って背筋(はいきん)を使いすぎてしまう

お腹の力が弱くて、代わりに背中の力を使いすぎる失敗例です。

手は下腹に置いて、腹筋に力が入ることを確認しましょう。

失敗例2:肋骨まで持ち上がってしまう

頑張ってボールを転がしすぎて、肋骨まで浮いてしまう失敗例です。

腰の筋肉が軽く伸びて気持ち良いところで止めるようにしましょう。
(45°が目安)

縦にゴロゴロ

方法

①バランスボールに足を乗せましょう

②脚を曲げて縦にゆっくりボールを転がしてきます。

(5秒くらいかけてゆっくり)

③脚を伸ばしてゆっくりボールを戻します。

(5秒くらいかけてゆっくり)

失敗例

失敗例1:膝が伸び切ってしまう

ボールを速く戻しすぎて、膝をパコンと伸ばしすぎてしまう失敗例です。

伸ばし切ると膝を痛めるので注意しましょう。

お腹の力を抜かないようにゆっくりボールを戻しましょう。

失敗例2:足を曲げる時に背中の力を使いすぎて腰が反りってしまう

下腹の力が入らず、背中の力を使ってボールを転がす失敗例です。

お腹に力が入るよう、手で触って確認しましょう。

失敗例3:足を伸ばす時にお腹の力が抜けて腰が反ってしまう

足を伸ばす時に、下腹の力が抜けてしまう失敗例です。

お腹に力が抜けていないか、手で触って確認しましょう。

今回施術した方に向けたポイント

  1. 数を数えながらゆっくり動かすように注意してください。
  2. 腰骨の内側を触って腹筋が働いているか確認しながら
  3. 両足の親指をくっつけて、膝はこぶし1個分開くようにしましょう。
    (膝のねじれを修正できて膝を痛めにくくなるので効果的です)

施術直後の効果

症状

首・肩こりは改善しました。

近所の接骨院・整体でも施術直後は症状が改善するようなので、再発しないように姿勢・歩き方が修正できることが重要です。

姿勢

インスタ映えするような劇的な変化はありませんが、施術の狙い通りの良い変化が出ています。

ズボンで確認が難しいですが、膝が内側に入っていたのがまっすぐになり、膝のねじれが軽減しています。

施術前は前後に体のバランスが崩れていましたが、施術直後はまっすぐ立てています。

歩き方

横から見た歩き方(左足に着目)

施術前は「後ろ足の親指でふんばるタイミング」でかかとが上がっていませんでした。

親指に体重を乗せる練習をしたため、施術後は親指にしっかり体重を乗せられるようになっています。

体重を前に移動させられるようになり、股関節・膝がしっかり伸びて歩幅が広がっていました。

前から見た歩き方(左足に着目)

施術前は「衝撃を吸収するタイミング」と「後ろ足の親指でふんばるタイミング」で膝が内側に入って、膝のねじれが生じていました。

施術後は膝のねじれが改善されており、膝を痛めにくい歩き方になっていました。

日常生活の注意点

姿勢で気をつけること

立った時に少しだけお腹を後ろに引いて、踵に体重が乗りすぎないようにしましょう

歩き方で注意すること

後ろにいった脚の膝をしっかり伸ばして親指でふんばるようにしましょう。

変に色々と注意すると混乱してしまうので、それだけでOKです。

余裕が出たら「膝とつま先がまっすぐ前を向く」ことを意識しましょう。

今後の方針

今後、施術にきていただいた際の方針はこんな感じです。

近所の整体などで施術を受ける際の参考にもお使いください。

  • 膝のねじれを改善するように、膝の周りの筋肉などの癒着をとる
  • 膝のねじれが改善するような運動を今回行ってもらった運動に付け足す
  • 腹筋だけでなく股関節周りの筋肉がしっかり働くようにする

おわりに

首や肩のこりは姿勢の影響を大きく受けます。

ほぐすだけでは症状の根本改善をすることはできません

そして、医療機関で異常なしと言われるような症状は、ちょっとした姿勢や動き方がの癖が原因となっていることが多いです。

治すためには地味で地道な「姿勢や動作の修正」がどうしても必要です。

悪い癖は長年かけて染み付いてしまっているので、直っていくまでに時間がかかります。

根本解決するためには、施術を受けてくださった方の頑張りとご協力が必要です。

なるべく施術にお金をかけなくて済むように、1日1回でも良いので家でもエクササイズをして運動が習慣化するようにしてください

そうしていただければ、姿勢や筋肉の緊張が改善されて、根本の改善が早くなります。

痛みの出ない体を手に入れて、快適な日常生活を送れるように精一杯協力いたしますので、一緒に頑張りましょう。

施術希望の方へ

東京都港区麻布台にて施術を行っています。

ご連絡はこちらへ

電話:09066557038
メール:gt.ozable7038@gmail.com
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